学生のころ、平和公園で訪れる人に一人でインタビューをしました。
「どうしてここに来ましたか」
「原爆死没者慰霊碑の『過ちは繰り返しませぬから』というのはどういう意味だと思いますか?」
など聞きました。
何人かに聞きながら、自分が何も準備していないのに続けるのは困難だな、と思って無力感で帰ろうとした時にその人は来ました。多分、様子を見ていたのだと思います。若い会社員で、
「僕が働いているのはM重工業です。ご存知ないかもしれませんが、今も軍需品を作って輸出しています。それで本当にいいのか悩んでここに来ました」
と言われました。返す言葉がありませんでしたが、その人が伝えたことは私の心に残っています。
「原爆」がなぜ落とされたのかを意識するようになったのは多分それからだろうと思います。十分でなくても自分で行動してみるというのは大事なことなのだと感じました。
呉YWCAでその人に会いました。農学部を卒業したけれど、デイパックで歩いているところを自衛隊員にリクルートされて、幹部候補生候補として研修を受けている。例えばシミュレーションで「湾に商業船が入港してきた時どうするか」と聞かれて、「もし民間の船だったら攻撃できない」とためらっていると上官から「何をしているのか、敵が偽装しているかもしれない。」と。
言われてみるとグループのほかの人はみなすぐに船を襲撃していた。自分には納得がいかない、と言ったりということが多く、自分は自衛官に適性がないと判断されつつあるとのことでした。その他、八甲田山での演習などをしていることなど話されました。私たちの日常とかけ離れたところで戦争の練習をしているのだなと思いました。
呉港を見ても軍艦だらけでしかも大型化しています。呉にいても知らない人も多いから呉以外の人は知らないでしょう。また、映像で見るのと実際に自分が立ってみるのとではスケールが違います。呉港が軍艦だらけというのは非常に異様ですが、他所に行って戦争ごっこをしてるわけではない、ある意味「平和な」状態です。
木村浩子
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