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作品紹介~『ヒロシマ 消えたかぞく』指田和著


私は豊岡市立図書館絵本コーナーのヘビーユーザーです。地元の幼稚園・小学校・中学校、そして教会の「ベビーソング」での読み聞かせの他、英語を教える教材としても絵本を多用しているもので、毎月10冊以上の絵本を見繕っています。


先日『ヒロシマ 消えたかぞく』(ポプラ社2019刊)という写真絵本に出会い、大きく心揺さぶられました。広島市播磨屋町で床屋をしているお父さんが、4人の子どもや妻の笑顔をたくさんたくさんアルバムに収めていた、その1枚1枚に語らせ、たくさん微笑ませてくれた末に、この家族が全員原爆で亡くなったことが告げられます。一番小さい2人は焼け跡から小さな白骨で見つかり、他はそれぞれやけどを負いながら逃げた先で。笑顔の毎日が続くとみんな信じていたのに。


原爆の被害者が、ただの「数」ではなく、それぞれに笑顔があってストーリーがある。当たり前のことを理屈抜きで突き付けてくれる絵本です。作者の指田和さんは、2016年広島平和記念資料館の「新着資料展」でこの家族の写真に出会い、多くの人にこの事実を知ってほしい、と親族を訪ねまわって情報を集め、絵本にされたそう。英語対訳つき。世界中の多くの人に出会ってほしい絵本です。


雀部真理(大阪YWCA会員)

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