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作品紹介 〜『ワタシゴト 14歳のひろしま』〜

(中澤晶子,汐文社)







タイトルの「ワタシゴト」は「渡し事=記憶を手渡すこと」と「私事=他人のことではない、私のこと」の2つの意味を込めて作者が作った言葉とのことです。


この本は複数の章からつくられており、それぞれの主人公は、修学旅行で広島に訪れる現代の生徒たち。

事前学習を熱心に取り組んで広島に赴く生徒もいれば、「修学旅行だから」「日常から少し離れたいから」等の理由で参加する生徒もいます。

このように様々な生徒たちですが、全員に共通するのは“感じることができた”ということです。

いろいろな立場の人の視点から書かれているため、「今を生きる人の戦争への向き合い方は、人それぞれで良い」と伝えてくれるように私は感じています。



特に目を向けたいと感じた部分は、戦時中、日本が加害の立場であった事実も、母親がマレーシア人の少女を通して示されていることです。

彼女たちが訪れた資料館の外国人被爆者の展示にて、「南方特別留学生」の説明文はわずか一言だけだったとのことです。

本作は、人間の温かみがある言葉で話が進んでいます。受け取りやすい言葉で書かれているからこそ、私は日本の加害の歴史を学んでいないことを痛感しました。



残念ながら今は広島に行くことがなかなか叶いません。直接肌で感じることが難しい状況下だからこそ、主人公たちの経験をおすそわけしてもらえるような、共に“感じる”ことができるようなこの作品をみなさんと共有できたら嬉しいです。



平和核ユースボランティア もとか

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